ブログ・お知らせ
腰痛と喫煙の関係性

タバコの煙には5,000種類を超える化学物質と70種類の発がん物質が含まれおり、喫煙を続けていると人体にさまざまな悪影響を与えます。タバコは肺がんや心疾患のリスクが高まるのと同様に、腰痛になるリスクも高めてしまうのです。
喫煙と腰痛―椎間板ヘルニア
タバコにはたくさんの有害物質が含まれており、その煙を吸引すると体の中の細胞や組織を傷つけます。その悪影響は血管や内臓だけでなく、骨にまで及ぼし、腰痛になるリスクを高めてしまいます。
背骨のそれぞれの間には、椎間板と呼ばれる線維軟骨が存在しています。椎間板は、骨同士がぶつかり傷つかないようにクッションの役割を果たしています。椎間板には血管が通っていないため、周りの毛細血管から染み出る栄養分を吸い込むようにして補給しています。
タバコに含まれているニコチンが人体に与える悪影響の1つに、血管を収縮させる作用というものがあります。この血管の収縮は毛細血管にまで及び、椎間板の周囲にある毛細血管が収縮してしまうことによって、椎間板に送られるべき栄養分が滞る状態を引き起こします。きちんと栄養分を補給することができない状態が続いた椎間板は、水分が失われ、スカスカの状態に変化してしまいます。スカスカの椎間板ではクッションの役割を十分に果たすことができず、骨同士が衝突し、壊れた椎間板の中の軟骨が尖り、飛び出し、神経を圧迫することによって腰痛を引き起こします。この椎間板が突出して神経を圧迫して痛みを出す病を椎間板ヘルニアといいます。
椎間板を構成する成分の約80%はビタミンCによって作られるコラーゲンです。喫煙をすると、タバコ1本につきレモン半分のビタミンCが失われます。そのため、喫煙者は椎間板の元となるコラーゲンを作り出す能力が低くなり、椎間板の老化を早めます。毛細血管の収縮と椎間板の老化のダブルパンチにより、背骨のクッション機能は奪われ、腰痛がどんどん悪化していきます。
喫煙と骨粗鬆症
喫煙は、カルシウムの吸収率を下げ、骨を生成する細胞の能力も低下します。さらに、卵巣の働きを弱らせ、閉経の時期を早めてしまうなど、女性ホルモンの分泌にも大きな影響を及ぼしてしまいます。カルシウムや女性ホルモンは骨の生成にはかかせないものです。それらが低下するということは、骨の骨密度もどんどん低下してしまうということに直結します。そのため、骨がすかすかになって弱り、変形したり、潰れたりして腰などに痛みをだします。これは骨粗鬆症の症状の1つです。
骨粗鬆症とは、長年に渡る生活習慣の積み重ねが原因で骨密度が減り、骨がスカスカになることで骨折などが起きやすい状態になってしまうという病気です。私達の身体の骨量は18歳位をピークに年々少しずつ下降していきます。この様に、年齢に従って骨密度が下がっていくのは仕方のないことですが、喫煙はその速度を早め、若い年齢でも骨粗鬆症になってしまうリスクを高めてしまうのです。
喫煙者じゃなくても危険な受動喫煙
受動喫煙とは、文字が表している通り、受け身で喫煙してしまうことです。具体的には、自分自身が喫煙者ではなかったとしても、喫煙している人の近くでタバコの煙を吸ってしまうことを指します。タバコの煙には3種類あり、喫煙者がフィルターなどを通して吸い込む煙を主流煙、吸って吐き出した煙を呼出煙、そして火がついたタバコ自体から立ち上がる煙を副流煙といいます。それらの煙を喫煙している本人はもちろんのこと、近くにいる人間全員が吸い込むこととなり、たとえタバコを吸っていなかったとしても、タバコによる悪影響を受けてしまうのです。
受動喫煙でも、もちろん椎間板や骨に影響は出てきてしまいます。動物実験で、8週間ラットを受動喫煙させたら、喫煙者の椎間板と同じような変化が見られたそうです。そのため、タバコを吸わない方でも、家族など同じ時間を過ごすことが多い人の中に喫煙者がいる場合、タバコが原因で腰痛が発症している場合があります。
受動喫煙の場合は本人がタバコに依存しているわけではないため、早い段階でタバコの煙から離れることができれば椎間板は自然に修復されていきます。しかし、長い期間受動喫煙を続けてしまうと手遅れになってしまう場合があるので、喫煙している方に配慮してもらえる状況を早めに作ることが大切です。
腰痛の原因はさまざまで、原因が分かっていないものが多くあります。少しでも腰痛になるリスクを減らすためには、原因が分かっていることを排除していくしかありません。もしご自身が腰痛持ちで、タバコを吸っている場合は、腰の治療とともに、禁煙をはじめることをおすすめします。社会的にも喫煙に対する考えが改められ、外でタバコを吸うことの出来る場所は限られるようになってきました。今のこの時代だからこそ、禁煙は健康面から見ても、社会的な面から見ても多くのメリットを得ることができます。自分と身近な人の健康を守るつもりで、是非禁煙にチャレンジしてみてください。